Google広告とYahoo!スポンサードサーチの部分一致の仕様の違いについて推測してみた
はじめまして。
株式会社五箱で広告運用をしている三枝(さえぐさ、みえだ)という者です。
いきなりですが、Yahoo!スポンサードサーチとGoogle広告で成果のいいキーワードが違うし、そもそも獲得できるマッチタイプも違う!って感じることがあると思います。
それもそのはずです。
(だって媒体が違いますもんね。)
でも、本当に媒体が違うからって納得するよりも
「これこれこうなったからこういう違いがあるんじゃない?」
って推測を立てたほうが、今後の運用に大きく役立てると思うんです。
そこで、今回は実務をしている上で
「Yahoo!スポンサードサーチ(以下YSS)とGoogle広告の部分一致って、こんな感じで挙動が違うんじゃない?」
と感じたことがあったので、執筆いたします。
あくまでも憶測ですので、全部が全部あてはまるわけでは無いと思いますし、「どっかの誰かが言ってたなあ」くらいにとらえて頂ければ幸いです。(そもそもリスティング広告運用って正解が無いと思ってます。)
そもそも部分一致って?
そんなの知ってるよ!と思う方が大半だと思いますが、改めて両媒体のヘルプなどを見てみましょう。
YSSの部分一致
登録キーワードの類義語や関連性のある検索キーワードに対しても、広告を表示します。部分一致を設定すると、完全一致、フレーズ一致で引き当てられる検索キーワードも広告が表示されるので、マッチタイプの中では最も多く広告が表示されます。
公式ヘルプ「部分一致について」より引用(19/06現在)
https://support-marketing.yahoo.co.jp/promotionalads/ss/articledetail?lan=ja&aid=37985
要は、「靴」で入札している場合「テニスシューズ」でも広告が表示されることになりますし、「中敷き」とかでも広告が出る可能性がありますよ、っていうことになりますね。
Google広告の部分一致
部分一致を使用すると、キーワードに追加した語句だけでなく、キーワードに関連するパターンに対しても自動的に広告が表示されます。このため、より多くのユーザーにウェブサイトをアピールできるほか、キーワード作成にかかる時間を節約し、成果の上がっているキーワードに投資を集中できます。
広告ヘルプ「部分一致を使用する」より引用(19/06現在)
https://support.google.com/google-ads/answer/2497828?hl=ja
まあ、YSSの部分一致とパッと見た感じあまり変わらなさそうですね。
ただ次にこうも書いてあるんです。
部分一致は、他のマッチタイプ(完全一致、フレーズ一致、除外キーワード)を指定しなかった場合に、自動的にすべてのキーワードが割り当てられる、デフォルトのマッチタイプです。類義語、誤字、表記のゆれ(例:「振り込み」と「振込」)、関連語句など、キーワードに関連するパターンに対して自動的に広告が表示されます。また、ユーザーと関連性の高い広告を表示するために、ユーザーの最近の検索内容も考慮に入れられる場合があります。
広告ヘルプ「部分一致を使用する」より引用(19/06現在)
https://support.google.com/google-ads/answer/2497828?hl=ja
簡単にいうと「今、あなたが検索した語句じゃなくて、普段検索してるのも見てるよ」ってことです。
何がどう違うの?
ヘルプを見る限り、YSSとGoogle広告の部分一致の違いは
「最近の検索語句をみてるかみてないか」
っていう違いが考えられますね。
で、ここからなんですが実際の私が担当しているアカウントからこの仮説に現実味があるなと思った事例がありました。
とあるアカウントの部分一致
結論からいうと、
「Google広告は最近の検索語句とか多分他のシグナル的な所もみて、部分一致で拾っているのに対し、YSSは単純に文字の類似性で拾っている、気がする」
です。
かなりぼやかしてますが、要は検索語句の「意図」か「意味」の違いですね。
とあるアカウントにて、開始当初はGoogle広告、YSS共に全く同じアカウント設計をしておりました。
キーワードは基本的に部分一致で入札していて、開始初月はYSSとGoogle広告共に獲得できている検索語句に大きな違いもなかったですし、流入している検索語句に「明らかターゲット外だな」っていう検索語句もありませんでした。(CPA¥31,000ほどで獲得出来ておりました。)
具体的なキーワードでいうと、求職者に向けたサービスで両媒体共に「IT 訓練」と部分一致で入札していたキーワードに対して「職業訓練」という検索語句で獲得ができていました。そもそものターゲット対象が求職者なので、「意味」「意図」両方で大きなズレというのはなさそうですね。
と、こ、ろ、が。
次の月、YSSのCPAが、なんと、
月半ばまで、¥100,000を超えていました。
入札、ターゲット、広告文を大きく変えたわけではないですし、シーズナリティや外部要因もあまり考えられないと判断し(Google広告でしっかり獲得できていたので)検索語句を見てみると。。。
…特に大きな変化無し、、、、、
むしろGoogleで獲得できてる検索語句「職業訓練」はYSSでもちゃんと拾えていました。
原因が特定しづらいパターンです。
ただ、大きく違うのはこの検索語句「職業訓練」からの獲得が一切無かったのです。
なおかつその他検索語句でもこのような傾向があり、結局YSSの方はCPA¥50,000の着地となりました。。。(Google広告は¥20,000ほどでした。。。)
そう思っている時に、改めてGoogle広告のヘルプとYSSのヘルプを見比べて見てYSSとGoogle広告の部分一致の違いは「意図」か「意味」の違いという仮説をたてました。
そこでふと「ある程度検索意図をコントロールしやすい絞り込み部分一致を使えば、改善するかも!」と思い、適用しました。
すると、最終的にCPAが¥31,000で着地した初月、¥50,000で着地した2ヶ月目絞り込み部分一致を採用した3ヶ月目は¥14,000での着地となり、さらに部分一致で入札していた初月と比べると、絞り込み部分一致である程度検索語句をコントロールできたため、
「確度の高そうなユーザーが調べそうな検索語句に対してのクリック数が増えたであろう」
ことから結果的に獲得数も約2倍になりました。
現在もCPAも安定していますし、部分一致を使っていた時よりも良くなっています。
一方、Google広告の方は引き続き部分一致を使っていますし、「え?なにこれ?」みたいなキーワードから獲得出来ることがあります。
「Google広告で獲得の主要となっている検索語句が、YSSで獲得できない」ことから、Google広告はただ検索語句の文字の意味をAIで判断しているのではなく、「意図」まで拾ってるんだろうなあという事で個人的には腑に落ちました。
今後の部分一致との向き合い方
完全一致もGoogle広告だと「完全一致してない」場合でも広告が表示されるようになってます。(完全一致じゃないじゃん)
Google広告は検索語句の文字列の「意味」から「意図」を捉える方向へシフトしていっていると考えてもいいんじゃないかな、と思います。
これはGoogle広告、YSSにも共通することですが、Google広告は特に文字列の意味で判断して除外キーワードを行うのではなくて、検索語句の傾向をつかんで成果次第で除外対象するみたいな感じで不用意にキーワードの除外をしていかない方が良いかもしれません。(明らかに関係ない場合は除いて)
長々と書きましたがじゃあYSSは絞り込み部分一致を使っとけばいいのか?というとそういうわけではありません。
商材によっては「部分一致の方が取れますよ」っていうこともあると思いますし「そもそもその推察自体が安直じゃない?」って思われる方もいらっしゃると思います。
実際私もYSSで部分一致を使っているアカウントはあります。
思いっきり言い訳しますが最初に記した通り、
「リスティング広告運用に正解は無い」と思ってますし、あくまでも「推測」ですし、ちょっと個人的な偏見も入ってたり入っていなかったり
リスティング運用に正解は無いなんて簡単な言葉で片づけてますが、「このアカウントに現状最適な設定は、、、」なんていうのは、自分の手で検証して見つけていくしかないなと思います。
今回の部分一致の拡張性というところですが、実際のところ私の推察が正解かどうかなんてわかりません。
Google広告もYSSもヘルプ上に書いてあること以上の事はわからないことが多い(多すぎる)ので事例からシステムの挙動を想像していくしかないのですが、これがかなり楽しかったりもします。
こういうシステムの挙動を推測して、その時その時に合わせた人間にしかできない範囲を見つけて柔軟な対応をしていくこと、柔軟に対応をしていくことで結果的に成果に繋げていければ、どんどん自動化が進む今日の中で「じゃあ人間が提供できる価値って?」というところに応えられるんじゃないかな、と思ってます。