リスティング広告のあるある失敗談!ダブルチェックしたかをダブルチェックすればミスは防げるのか?
こんにちは。株式会社五箱の小田です。
去る6月14日(金)に弊社で行われたSEMカフェイベントに運営者として参加させていただきました。
ファシリテーターの小西さんが新田真隆さんをゲストに迎えた本イベントは、金曜夜にもかかわらず満員御礼。
お二人のフリートークに参加者の方の真剣な眼差しが向けられる中、ときには話が脱線しつつも貴重な体験談が飛び交い、今後のリスティング広告運用への携わり方についてのヒントも得られる熱い一夜となりました。
この記事では、当日に小田が感じたことや学んだことを綴ります。
登壇者のご紹介
ファシリテーターはお馴染みの小西一星さん(写真右)。
SEMカフェ主催者で、Google広告ヘルプコミュニティにてゴールドプロダクトエキスパート。(https://twitter.com/isseik)
ゲストは新田真隆さん(写真左)。
同じくGoogle広告ヘルプコミュニティのゴールドプロダクトエキスパートで、ここ最近では間違いなく質問者への回答率No.1。
2018年4月よりフリーランスとして独立し、運用代行を行う傍らで代理店のコンサルとしてもご活躍されています。(https://twitter.com/acssemble)
イベントの概要
2019年6月14日(金)新田真隆さんをゲストに呼んで公開議論
〜やってはいけないあるあるから学ぶリスティング広告〜
多くの人がやりがちな失敗あるあるをお聞きして、自分も間違っていないか?どうしたら防げるか?何をやってしまってはいけないのか?
といった側面から、リスティング広告を学びましょう。
2019年6月14日(金)新田真隆さんをゲストに呼んで公開議論〜やってはいけないあるあるから学ぶリスティング広告〜 | SEM従事者のためのコミュニティ|SEMカフェ より引用
終始、小西さんが新田さんへ質問するというフリートーク形式でイベントは進行しました。以下より当日のレポートをお送りします。
よくある失敗例1(Google広告推奨設定系)
口火を切ったのは、ここ数年のGoogle推奨設定に関する話題でした。
どれも機械学習を促進するための設定で、今のリスティング広告運用において切っても切り離せないもの。新田さんによると「誤った理解をして設定しているアカウントが少なくない」そうです。
アカウント構成
hagakureに対する誤認識。単に広告グループを減らせばいいという発想で、指名と一般、競合のキーワードを全て1広告グループにまとめていたり。
逆に、広告文が全く同じなのに複数の広告グループに無駄に分かれていたりすることも。
アカウント構成に正解はなく、これらがダメだという話ではなかったはず。1キャンペーン1広告グループのみでも、1キーワード1広告文の広告グループが30個でもよいけれど、お二人が伝えたかったのは「明らかに意図がない構成は問題ではないか」ということだと思います。
スマート自動入札
自動入札を魔法だと思い盲目的に設定しているケース。
仕様を理解していないから失敗したときの対処法が分からず、「目標コンバージョン単価で成果が出ない。よし、次は目標インプレッションシェアだ!」といった支離滅裂な経緯を辿ったアカウントも見かけるそうです。
ちなみにお二人とも「スマート自動入札はいつ適用すればいい?」といった質問をよく受けるそうですが、これに対しては正解がないとのこと。
「やって駄目なら戻せばいい。ただし何故駄目だったのかを考える。」という姿勢で自動入札を活用されているようでした。
広告の本数
ただ単に1広告グループに3本の広告を入れただけのケース。
例えば、広告見出し全てが同じで説明文だけ少し変えただけなど。
いずれも共通しているのは、なぜ推奨設定とされているのかを考えずに手を動かしているということではないでしょうか。このような思考で運用を行っていると、機械学習を活かす前にAIに仕事を奪われてしまうかもしれません。
媒体の推奨とその理由を理解した上で機械学習との付き合い方を学び、必要に応じて自分なりのアレンジを加えていく。このような姿勢が大切だと感じました。
よくある失敗例2(予算管理系)
予算管理のミス。誰もが1度は経験し、ヒヤヒヤしたことがあるのではないでしょうか?
特にクライアントから予算を預かる立場の代理店運用者にとってはセンシティブな話ですよね。
紹介された事例は、予算投下ペースが早くて月初3日感で月間予算を使い切ってしまったり。逆に投下ペースが遅く、月末で無理くり入札上げて辻褄合わせようとしてしまったり。これらの要因としては、以下のようなケースが挙げられていました。
- キャンペーンの上限予算設定ミス
- GDNでモニタリング配信
- アカウント開始時に入札単価を上げすぎかつ部分一致で配信
- アカウント残金が0円になって配信が止まった
このような場合はクライアントに正直に謝って再発防止策を考えるしかないわけですが、何故ミスが起きたのかについて深掘りする必要性を感じました。そこを怠ると不毛な対策を実行していしまい、同じミスを繰り返すこともあるようです。
個人的に印象に残った不毛な対策例として「ダブルチェックしたかをダブルチェックする」というものがありました。
以下のような感じでしょうか。
- 毎日アカウント残金をチェックします
- 残金が不足していないかをチェックします
- これらのチェックが行われたかをチェックします(ダブルチェック)
「ダブルチェックしたかをダブルチェックします」
・・・これって本質的な解決にならないですよね。
人力チェックでミスが起きてしまうのなら、ツールに頼るなど違う方向性で考えたほうがよさそうです。
昔はATOMやgluのようなツールが存在せず、日々エクセルに落として細かくチェックしたりと予算投下ペースの調整だけでも超大変たったそうですが、今なら楽に把握ができます。ツールに頼れる場合は思いっきり頼りたいものです。
※ATOM。予算投下ペースの上振れや下振れ時にアラートを出してくれます。
よくある失敗事例3(効果計測系)
次は広告の効果計測タグや、アクセス解析に関する話題。
Webページへのタグ設置は制作担当の方に依頼することが多いので、社内外のパートナーとの連携や依頼する際の説明の仕方が大事ですよね。
失敗事例としては以下のようなものが挙げられました。
- リマケタグをコンバージョンページだけに設置した
- 反対に、コンバージョンタグを全ページに設置してCVRが200%になった
- 謎のパラメータをつけて解析レポートをぐちゃぐちゃにする
タグは勿論のこと、クエリパラメータ問題もあるあるだと思います。
クライアントからの依頼がそもそも間違っているケースもあり、私も実際に次のようなutmパラメータの付与を依頼されたことがあります。
?utm_source=adwords&utm_medium=listing
正直、Googleアナリティクスの仕様については私自身も正確に理解できていませんが・・・
これで行ける!と思いきや、アナリティクスの中身を本当によく見ている人ならダメだって分かりますよね。
自分以外の関係者もアクセス解析ツールのデータを活用しているということを念頭に置き、パラメータを付与する際は関係者間での確認をとったうえで設定する配慮が必要だと思います。
特にGoogleアナリティクスまわりの話は盛り上がり、小西さんによると「このテーマだけで1イベント終わっちゃうから」ということで閑話休題。
その後もフィード作成時のエクセル事故や、営業と運用が分かれていることによる意思疎通問題、地域設定を誤ったまま配信、等のあるある事例が飛び交い、後半は質疑応答タイムを経て約2時間のイベントに幕を閉じました。
今回のイベントで学んだこと
ミスを防ぐためのハウツーに留まらず、運用者としての在り方についてヒントを得られる内容だったと思います。
どの事例にも失敗に至るまでに共通した要因があり、以下の点に日頃から意識をしておくことで防げるものが多いと感じました。
- 学習を怠らない
- 自分の頭で考える
- 手を動かした結果を確認する
スマート自動入札が上手くいかなくても、それは何故なのかを考える。
コンバージョンデータの量が不足していたのか、特定のキーワードや広告に偏った費用の使い方をされたのか。
考えることで仮説が生まれて次の対策をとれると思います。
キーワードマッチタイプ、広告オークションの仕組みについても理解があれば、今よりも適切なアカウント構成を組めるようになるかもしれません。
完全一致の仕組みを理解することで入札するキーワードの数が今より少なくて済んだり。
完全一致では、あらかじめ指定したキーワードと「意味」が同じ語句で検索が行われた際に広告が表示対象になります。
完全一致を使用する – Google 広告 ヘルプ より引用
オークション時には最初に広告が検出されていることを知ることで、広告文によって検索クエリをコントロールすることができるかもしれません。
ユーザーが検索を行うと、その検索内容と一致するキーワードが設定された広告がすべて検出されます。
お二人に共通していることは、常日頃から学習する習慣があり、その手段としてアウトプットを上手に活用されているというところ。Google広告コミニュティでのご活躍が物語っていますよね。
AIの発達により広告運用の仕事はなくなるのでは?と危惧されている昨今ですが、まだまだ人にしか出来ないことがあるはず。
そのためには何に取り組めばいいのかといった視点を持ち続け、日々の仕事に向き合っていきたいと改めて実感させられたイベントでした。
編集後記
ある参加者の方の質問から派生した話が印象的だったので最後にご紹介します。
「運用担当としてモティベーションを維持するには?」
新田さんと小西さんの回答は、共通して広告を出す対象の「人」に興味を持つこと。
何でこの人はコンバージョンしたのだろう?
この検索クエリはどんな意味なんだろう?
どんな訴求の広告が当たるだろう?
といったこと。
テクノロジーの話題の影に隠れがちですが、忘れてはならないリスティング広告の醍醐味ですよね。