顧客の行動や心理・感情を推し量るのには、マーケティング活動の成果が非常に重要です。
逆に顧客を理解できていないと、「どのようなタイミングでどのようなメッセージを伝えるべきか」がわからず、精度の高いマーケティング施策を立案することは不可能です。
今回は、製品開発・UXデザイン・マーケティング戦略・施策立案の現場で広まってきており、顧客の心理や行動を理解する上でよく利用される「カスタマージャーニー」について、その方法から具体的な事例を紹介します。
カスタマージャーニーとは
カスタマージャーニーとは、ペルソナの動き(行動・思考・感情)を時系列で可視化したものです。
「顧客の旅」と直訳される通り、ペルソナの動きを可視化し、顧客とのタッチポイントを洗い出すことに重き、調査を行います。
現代の顧客・ユーザー・消費者は複数のメディアやチャネルを横断して情報・購買行動を行うため、顧客の行動を正しく把握することはますます困難になっています。
一方、テクノロジーの進歩で取得・分析できる情報の量と質は向上しており、顧客の行動が精度高く可視化できるようになっているのも事実です。
マーケティングオートメーションツールやアドテクノロジーが進化したことで、個客に対してチャネルを横断してマーケティング施策を打つことも可能になったことを背景に、現代のマーケターにとって「カスタマージャーニー」は必須項目と言って過言ではありません。
Googleのトレンド調査でもここ数年、「カスタマージャーニー」への注目が高まっていることが確認できます。
カスタマージャーニーを作成するメリット
顧客を深く理解できるようになる
顧客がどのような購買プロセスを踏み、自社の製品・サービスを購入しているか、正確にイメージすることはなかなか困難です。
Webサイトやアプリの行動ログ、アンケート調査などで断片的には顧客行動を理解できていたとしても、顧客がトータルでどのような動きをしているかはなかなか把握できません。
カスタマージャーニーを行えば、ペルソナの動き(行動・思考・感情)を時系列で可視化できるので、体験全体がシンプルなストーリーとして表現されます。
従って、マーケターは顧客の行動を深く理解できるようになるのです。
企業目線だけでなく、顧客目線で発想できる
顧客体験全体を可視化することで、顧客目線からマーケティング施策を考えられるようになります。
顧客に寄り添った施策であれば、顧客の行動を理解しないで行う「なんとなくな施策」と比較して、当然効果は段違いです。
顧客の行動を理解しない施策は「Interruption Marketing=消費者の邪魔をするマーケティング」とみなされ、当然顧客からは敬遠されます。
例えば、新卒採用サイトのリニューアルを行う場合、採用サイトというタッチポイントを考えるだけでなく、ユーザーである就活生が、就職情報サイト・大学のキャリア相談センター・企業の合同説明会・友人とのディスカッションなど、採用サイト以外の複数のタッチポイントを経由していることを俯瞰で把握することで、採用サイトに持たせる役割や伝えるメッセージもより最適化されるはずです。
マーケティング活動における意思決定が迅速かつ的確に
次の項目で紹介する通り、カスタマージャーニーを作成する際は、マーケティング担当を筆頭に、営業・サポート・開発など、組織の枠を超えて横断的にチームを組み、「カスタマージャーニーマップ」という形に落とし込む手法が一般的です。
あらゆる組織のメンバーが協力して、ペルソナの体験を可視化する効果は非常に大きいものであり、顧客の行動に対する共通認識が明確になります。
例えばマーケティングオートメーションツールを導入し、ステップメールのシナリオを作成する際などにもカスタマージャーニーの理解が進んでいれば、検討・作成はスムーズに行うことができるでしょう。
カスタマージャーニーマップの作り方
以下、上で述べたカスタマージャーニーマップの作り方をご紹介致します。
ペルソナを明確に設定する
カスタマージャーニーマップを作成する際には、まず対象とするペルソナを明確に設定する必要があります。
カスタマージャーニーマップのゴールの設定
作成するカスタマージャーニーマップのゴールを定義します。
● 問い合わせ
● 購入
● リピート購入
どこまでを範囲とするかにより、施策において集める情報が大きく変化します。
カスタマージャーニーマップのフレームを設定する
カスタマージャーニーマップのフレーム設定では、横軸に「認知」「興味・関心」「比較検討」「購入」などの購買プロセスを配置し、縦軸に「タッチポイント」「行動」「思考・感情」「課とそれに対する施策」をマッピングしていく方法が一般的です。
顧客に関する情報収集を行う
ゴールとフレームが設定できたら、いよいよ情報収集です。
「オンライン・オフラインのデータ分析などの定量調査」「ユーザーインタビュー」「ユーザーテストなどの定性調査」など、社内に点在しているあらゆる顧客情報を隅々まで収集し、「顧客がどのような感情でどのように行動して、どのようなタッチポイントに触れているのか」を調査します。
BtoB企業であれば、過去の問い合わせ情報から、商談内容・受注情報・展示会やセミナーで収集したアンケート・製品・サービスへの満足度調査・カスタマーサポートの対応履歴などが活きたデータとなるでしょう。
それで不足するようであれば、更に顧客へのインタビューや市場調査を行い、より多くの情報を収集します。
ラフなマッピングを行う
情報が集まったら、設定したフレームに従い、顧客の行動や思考・感情などのマッピングを行います。
その際は、部署・役職に関わらず選抜したメンバーによって、ワークショップ形式で進めていくことをおすすめします。
経営層・マーケッター・セールス・カスタマーサポート・製品開発・エンジニア・外部パートナーなど、あらゆる立場のメンバーによるカスタマージャーニーマップ作りはそれぞれの異なった目線によって、非常に生産性の高いものになるはずです。
カスタマージャーニーを浮き彫りにする
一通り、マッピングし終えたら、グルーピングによって情報の整理を行います。
行動・思考・感情を一連のストーリーとして結びつけていき、イラストの活用なども含め、誰でも直感的に理解しやすいスケッチを行うと良いでしょう。
これにより、カスタマージャーニーが浮き彫りとなり、カスタマージャーニーマップ作成の目的を果たすことができました。
カスタマージャーニーマップを行う上での注意点
企業担当者の都合の良い希望にならないように注意する
「こうであって欲しい」「きっとこう動くはず」など、カスタマージャーニーマップに企業担当者の都合の良い希望が反映してしまうことはありがちな失敗例です。
調査やデータに基づいた情報をマッピングし、ファクトでない部分に関しては、仮説検証を必ず行いましょう。
最初から細かく作りすぎない
カスタマージャーニーマップの作成は決して簡単ではありません。
顧客のあらゆる体験を俯瞰できる情報収集能力が問われます。
まずは、手元にある程度の情報が集まった段階で作成を開始してみましょう。
作成を進める過程で、顧客に対して自分たちが理解できていない部分を必ず見つけ出せるはずです。
わかっている範囲でシンプルに捉え、徐々にブラッシュアップしていくイメージを持ちながら作成すると良いでしょう。
最初から複雑で綺麗なカスタマージャーニーマップを作ろうしないことが重要です。
作っただけで満足しないで、バージョンアップを怠らないようにする
一度作ったカスタマージャーニーマップでも、1年ほど経過すれば現実とそぐわない箇所が出てきます。
顧客の情報行動や購買行動の移り変わりが激しい現代では、半期や1年、もしくは大きなキャンペーンなどが企業内で企画される際などに、カスタマージャーニーマップを見直すようにしましょう。
まとめ
カスタマージャーニーによる施策は、顧客の行動心理が複雑化している現代において非常に効果的です。
「顧客視点」への理解を深めた上で適切なアプローチを実現したい場合、カスタマージャーニーは大きな効力を発揮します。
まずは、カスタマージャーニーマップを難しく考えすぎずシンプルに作成することから初め、その骨組みに対し、収集した情報や顧客の声や社内の意見を落とし込んでいくと良い施策が打てるはずです。